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■20080228（木）
〜未来の日記〜 ��
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 | ２×××年
○月△日
ぼくのおばあちゃんは、ついに油になる日がやってきました。
それは、ぼくにとってはとってもさみしいことなのに、お父さんとお母さんはお祝いしましょうねと言いました。
だから、ぼくはどうしてお祝いになるのか、また、お父さんお母さんはさみしくないのか、それと、ぼくはとってもさみしくて仕方がないんだという胸を、親切丁寧に伝えました。
すると、お父さんお母さんは、ぼくよりもっと親切丁寧に教えてくれました。
「いいかい坊やハニー。おばあちゃんが油になるってことは、とっても素晴らしいことなんだよ。おばあちゃんは油になることで、世界とひとつになれるんだ。例えば、おまえが着ているそのシャツだって、元はと言えば油でできているんだよ。そして、この暖かい風をくれるファンヒーターの燃料や、おまえの大好きなプラモデルまで、全て油のおかげで作ることができるんだ。だから、油になるってことは、とっても有意義なことなんだよ。そもそも人は、油になるために生まれ、油になるために死ぬんだ。それは何故かと言うと、今の我々人類が豊かに暮らしていくには、ヒューマンオイル、つまり、人から抽出される原油が必要不可欠なんだ。そして、これは全て我々の神、オイール様の教えであり、オイール様に背くことは、神に背くのと同じことなんだ。だからいいかい坊やハニー。オイール様をあがめなさい。そしておばあちゃんが油になることを祝福しなさい」
お父さんとお母さんは、そうぼくに親切丁寧に説明すると、家の神棚に飾ってあるオイール像に手を合わせて、ナムナムホケキョ、オイール様、あぁありがたや、オイール様‥とぶつぶつ言ってお祈りを始めました。
ぼくはと言うと、やっぱりこれは理解しがたいことであり、とてもありがたや〜なんて祈る気にはさらさらなれず、このやり場のない怒りや悲しみをどう処理したらいいのかわからず、制御不能になった感情は、抑えることができずについに爆発して叫んでしまいました。
「オオオオオ‥オイールなんてクソくらえだー！」
それを聞いたお父さんは、目を真っ赤にしてぼくに駆け寄ると、
「この罰当たりがー！」
と言ってげんこつを振り下ろしました。
その瞬間、ぼくの目の前でぱちぱちと真っ赤な火の粉が舞い上り、部屋の中にいるはずなのに、キレイな星空が見えました。
ああそうか‥これは去年の夏休みに家族で行ったあの一場面。
静かな湖の畔で満点に輝く星空の下、キャンプファイヤーの火柱が空高く突き上がるのをぼんやりと眺めたあの場面‥
ぼくの記憶はそこで途絶え、目が覚めると朝になっていました。
つづく‥ | | |
