■20070926(水)
つるピカ・ブルース
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| 「あいたたた‥」 そう呻きながらゆっくりと立ち上がると部長は言った。 「おれ今腰が痛ぇんだよ」 その説明はしてくれなくても見てればわかる程、部長の腰はイっている。 「いやほんと痛そうっすね」 おれはうんうんと頷きながら相づちを打つ。 「なあほんとまいっちゃうよ、頭はハゲるし腰はイっちゃうしろくなことがねえ」 頭がハゲてからはもう一年以上経っているのだから、それは今更関係のないことだと思うが、おれは黙って話しを聞いた。 「こないだな、現場に材料持ってきてもらっただけんな、三人いねえと持てない重さだってわかってたからさ、運転手に二人でこいよって言ってあったんだよ、なのにそいつ一人で来やがってさ、それからだよ、この有様はよ」 「あぁ‥そりゃたいへんでしたねえ」と、おれ。 「おお、たいへんってもんじゃねえよまったく、おれあったまきたからさ、あの野郎に慰謝料請求してやろうかと思ってよ、ハゲでカタワにされたんだから半端な額じゃ済まされねえよ」 だからハゲは関係ないでしょう、と思いつつおれは言った。 「あんまり痛いなら二三日休んだらどうですか?」 部長はチッチと首を振りながらこう答えた。 「そんななあおめえ、家でくたばってる姿、女房に見せれねえよ、ただでさえハゲてんのによう」 おれはたまらずはははと笑った。 そして思った。 どんだけぇ〜 と。 | | |