■20051030(日)
秋桜畑
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| 焼津某所にて秋桜畑を発見したおれは車を止めて花を眺めた。 これが秋に咲く桜か‥。 しかしなにか物足りないと思い車を下りて花の匂いを嗅いだ。 だが、残念ながら鼻がつまっていてなにも感じることができない。 しかたないから山口百恵の歌を口ずさむ。 しかしメロディーばかりで歌詞がさっぱり出てこない。 おれはあせった。 このままではせっかくの秋桜畑を堪能できないではないか‥このまま立ち去ってしまってはせっかくの秋桜畑がきゃべつや大根の畑となんらかわりがないではないか‥。 もっと秋桜を感じたい‥。 ジレンマに身悶えたおれはふと空を見上げた。 空にはうっすらと雲が広がりその隙間からは秋の日差しが弱々しく差しこんでいる。 これこそ秋にふさわしい空、これこそ絶望の秋にふさわしい悲しい空じゃないか‥。 そしてもう一度秋桜畑を見渡した。 しかしやっぱり畑からはなにも感じることができない。 視野を広げて周りを見渡す。 右手には二三軒の民家を挟んで国道がひた走り左手には住宅が所狭しと立ち並ぶ。 そしておれは思った。 この畑は植える物を間違えている‥。 そう思うと秋桜などどうでもよくなったおれは回れ右して車に戻りその場を後にした。 | | |